夜寝ると咳が出る・夜だけの咳にお悩みの方へ
「2週間以上咳が続いている」「咳込んで眠れない」など咳の症状でお困りではないでしょうか。
咳は風邪の症状としてよく起こりますが、風邪が治ったのに咳だけが続いている場合は別の疾患が原因となって症状が起きている可能性があります。
2週間以上にわたって咳が続く場合はインフルエンザや肺炎、気管支喘息・咳喘息など風邪以外の疾患が疑われるため、お早めに当院までご相談ください。
気管支喘息について
気管支喘息は気道粘膜に発生した慢性的な炎症により気管支が狭窄する疾患です。気管支が様々な刺激に敏感になり、息苦しさ、咳、喘鳴(ヒューヒュー・ゼイゼイとした呼吸)などの発作症状が起こります。小児に起こりやすい疾患ですが、成人後に発症することもあります。主な原因はアレルギーですが、ストレスや風邪などの疾患によって増悪することがあります。喘息の発作症状は繰り返し起こるため、病状を管理するためにも定期的な治療が欠かせません。治療では症状を緩和・炎症を抑制するための薬物療法、生活習慣の改善指導を行います。
気管支喘息の原因
気管支喘息はアレルギー反応によって起こります。原因となるアレルゲンは、カビやダニ、ホコリ、花粉、ペットの毛、工場排煙や車の排気ガスに含まれる有害物質などが挙げられます。また、タバコやアルコール、お薬の成分が原因となり発作が起こることもあるため、適切な治療を行うために何が原因で発作が起こるのかを突き止めることが必要です。
気管支喘息の治療
気管支喘息で使用されるお薬は、気道の炎症を抑える吸引ステロイド薬などの「長期管理薬(コントローラー)」、気管支を拡げるβ2刺激薬や抗コリン薬などの「発作治療薬(リリーバー)」に分類されます。治療では主に長期管理薬を使用し、患者さんの状態に応じて発作治療薬を使用します。
アレルギーが原因と疑われる場合はアレルゲンを特定し、原因物質との接触を避ける環境を作ることが重要です。発作は繰り返し起こる可能性があるため、炎症が完全に治まるまで治療を継続することが必要です。
吸引薬は適切な方法で使用しなければ効果を十分に示しません。当院では吸引方法について丁寧にご説明しておりますので、指示に従って使用しましょう。
このような症状がありましたらお早めにご相談ください
- 咳が連続して出る
- 特定の物質、ホコリを吸い込むと呼吸が苦しくなる
- 痰の出る回数・量が増えた
- 喘鳴(ヒューヒュー・ゼイゼイとした呼吸)がある
- 夜間から朝方にかけて、呼吸が非常に苦しくなり寝付けない
- 天候や季節が変化すると咳込みやすくなる
- 風邪は治ったのに咳だけ続く
咳喘息について
咳喘息は、主に気道の慢性炎症が原因で生じます。喘鳴や呼吸困難といった症状はなく、長期間にわたって咳だけが続くのが特徴です。また、就寝前から明け方にかけて症状が悪化しやすく、会話、寒暖差、タバコの煙などの刺激により咳が出やすくなります。咳喘息は放置すると喘息に移行するリスクがあります。成人の場合は約30%が喘息へと移行すると報告されていますが、吸入ステロイド薬を使用することで、その移行率を低下させることができます。
咳喘息の診断
咳喘息の診断は、日本呼吸器学会のガイドラインに基づいて行われます。その基準は次の通りです。
1. 喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上続いている
聴診上も喘鳴を認めない
2. 気管支拡張薬が有効であること
(※3〜8週間続く遷延性咳嗽の場合でも診断可能ですが、3週間未満の急性咳嗽では確定診断を行いません)
上記の基準を全て満たした場合、咳喘息と診断されます。患者さんにとって、咳が2~3週間続くことは辛いものです。そのため、当院では8週間を待たずに積極的に治療を開始しています。
また、咳喘息以外(肺がんや肺炎などの疾患)の原因でないことを確認するために、必要に応じて胸部レントゲン検査や血液検査を実施いたします。
咳喘息の治療
咳喘息は気管支拡張薬によって咳が和らぐことが特徴です。治療には、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を組み合わせた吸入薬を使用し、気道の炎症を抑え、気管支の正常な働きを促します。ただし、薬物治療だけではなく、咳喘息の原因となるアレルゲンを特定し、避けることも重要です。例えば、喫煙が原因であれば禁煙を推奨し、花粉が原因であればマスクの着用をお勧めします。このように、患者さんに合わせた治療法を提案し、効果的な治療を目指します。
日常的に行える喘息発作の予防
喘息発作の予防には生活習慣の見直しが有効です。
家の中を清潔に保つ
喘息はアレルギーが主な原因となり、ダニや虫、ハウスダスト、花粉、唾液、ペットの毛、フケなどがアレルゲンとなります。家の中をこまめに掃除してアレルゲンを除去することで、発作症状を予防することができます。また、空気清浄機の使用や換気なども効果的です。
外出時はマスクを着用する
屋外の空気中には喘息発作を誘発する原因物質がたくさんあるため、マスクの着用が有効です。また、寒暖差も気管支喘息の原因となるため、室内・屋外の寒暖差が大きい冬季は、特にマスクの着用が推奨されます。
ストレスを発散する
精神的ストレスが喘息発作の要因になることがあります。ストレスを溜めないように、趣味の時間を作る、休憩・睡眠時間をしっかり確保しましょう。
無理のない範囲で体を動かす
喘息発作が出ないか過剰に心配になることで、運動量が少なくなり体力が落ちてしまう方もいます。もちろん体調が良くない時は無理に運動しなくても大丈夫ですが、楽しめる範囲で運動を習慣化してみましょう。
息苦しさがある場合は上体を起こす
就寝中に息がしづらいと感じる場合、体を起こすことで症状が緩和します。呼吸が苦しく寝付けない場合、背中をクッションなどで支え、上半身を少し高くすることで楽に眠れるようになることがあります。